給水管の電気防食による延命技術「ラスカットエ法」

技術概要

ラスカットエ法は、一般ビル、集合住宅、工場等の老朽化した給水管又は新設給水管を対象として、管内に露出して取付けられる陽極(アノード)、給水管の所定の外表面に接続される陰極(カソード)及び両極間に防食電流を供給する電圧・電流デバイスにて装置を構成し、陽極から水中を通して陰極となる管内面金属に電流を流し、その電位を卑化することにより給水管内面の腐食を抑制して延命を図る工法である。
なお、陽極の取付けられている管路が長期間閉鎖される場合、電気分解による水素の蓄積を防止するための施策を講じている。

諸元性能

1) 適用管種水配管用亜鉛めっき鋼管
(旧称:水道用亜鉛めっき鋼管)
配管用炭素鋼管(白管)
水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管
水道用ポリエチレン粉体ライニング鋼管
ねじ込式可鍛鋳鉄製管継手
(亜鉛めっき、樹脂コーティング)
2) 適用管径15A から 200A
3) 無負荷時の極間電圧20V (直流)
4) 防食電流値電流値は、管種、管径、管長、水質により異なる。 SGP-Vの給水管の実測例では管径20Aで2.4~4.3㎜A、100Aで11.1~21.6mA となっている。
5) 水  質ラスカット装着前、水道法水質基準の項目中、鉄、色度、濁度、一般細菌などが不適合であったものが、装着後、通常は3~6ヶ月程度で水質基準に適合するようになる。この期間は、水の電気伝導度、管種、内部の錆の状況などによって相当のばらつきがあり、6ヶ月以上改善されない例も20%程度はあるが、その場合も8ヶ月程度で水質基準に適合するようになっている。
なお、赤水のクレームは上記水質基準適合化よりも早目に収まっている。
新設管に装着すれば上記の点は免れる。
6) 管内の防食上記水質検査の他に、水の試料に指示薬を加えて鉄イオンの検出を行う比色試験によると、通常3~6ヶ月で鉄の腐食が収まる事が判る。
ただし、内視鏡により赤錆が除去される状況を追跡した結果によると、陽極から離れた末端の水栓近傍では内面の剥離し易い赤錆がなくなり錆の進行が停止する迄に、通常3~12ヶ月、稀には18ヶ月要することもある。
新設管に装着すれば上記の点は免れる。
7) 防食効果範囲東京都の水道水など、電気伝導度20mS/M程度の水道水の場合は、管種による差はあるが実験的には陽極位置から20m以上まで、また経験的には15m前後まで防食できる事を確認している。
但し、100A以上の管径に関しては、既存のシステムでは出力不足から口径によって15~30%有効長が短くなるが、開発目標の10mは達成している。
8) 施工性例えば、集合住宅に関しては、専有部1戸を2時間以内で施工可能であり、共有部に関しては陽極1ヶ所当り2~3時問で施工可能である。